Beer Please







香? メシまだか?



おーい・・・・



って、寝てるじゃねえかよ。

あ〜あ。エプロンつけたまま寝ちゃってるよ。

風邪ひいちまうぞ。しょうがねえなぁ。





冷蔵庫からビールの小瓶を出してリビングへ戻る。

寝ている香を起こさないように

できるだけ音を立てないで栓を開ける。





プシュッ





こんなところで寝ているのは誰のせいなのか、自分でも判っている。

性懲りもなくナンパに精出していたオレを追いかけて

町内二周しちまったもんな。疲れて当然だよ。



ソファーの横に膝をついて顔を覗き込むと

口を半開きにして寝息をたてている。



子供みたいだな・・・。



額に張り付いた前髪にそっと触れる。

と、微かに身動きをしたので慌てて手を引っ込めた。





「う・ん・・・撩の・・バカ・・・」





おい、寝言か。焦るじゃねえかよ。

それにしても、いったいどんな夢を見ているんだ?

オレは夢の中でもお前を怒らせているのか?



ったく、しょうがねえな。

晩飯はオレが作るとするか。

いっつもオレの好物ばっかりだからな。

今日くらい香の好きなモノがいいかな?・・いいよな。





んじゃ、手間賃を貰っていくとするか。














う〜ん・・ いい匂い・・・

あれ? あたし、いつの間に寝ちゃったんだろう。

あ、タオルケット掛かってる。

撩、かな?

もしかして夕ご飯作ってくれているのかしら。

手伝わないと・・・。



ん? なんでお酒の匂いがするわけ?



ペロリ。



やっぱり唇がビール味だ。

あたし、飲んでないわよね。

寝惚けてんのかしら・・・。



???????






                                                <End>











   <あとがき>

   これは「SIMPLE CITY」さまと相互リンクをした記念に、かなり遅れに遅れて
   差し上げたものでした。2001年7月掲載です。
   まだまだふたりの関係は軽いですね〜。つか、こんなに純情だったっけ・・・・・・?



     ムツ  「手間賃って何よ、手間賃って」
(ギロ)

     撩   「労働に対する正当な対価だっ!」

     ムツ  「ほほう。 じゃぁ、あんたはカオリンの家事やらアシストやらに

          正当な対価っつーもんを払っているんでしょうね」

     撩   「うっ・・・・・・ヤなヤツ」

     ムツ   「たまにはほら、旅行に連れてってあげるとか、食事に行くとか・・・」

     撩   「ふ、二人でか・・・?」

     ムツ  「あったりまえのこんこんちきよ。どこの世界にダチ連れて行くヤツがいるのよ!」

     撩   「こんこんちきって・・・・・死語だろそれ」

     ムツ  「話を逸らすんじゃないっ!」
(バンッ!!)

     撩   「わかったから、机を壊すなって」

     ムツ  「本当にわかったの? とりあえずここは丸く収めようってんじゃないでしょーね」

     撩   「・・・・・・お前、年明けてから、なんか冴えてんな」

     ムツ  「そうよ、それもこれも年の功・・・人間歳とると敏くなるものよ・・・って、

          んなことはどうでもいいから、さっさとデートにでもどこへでも行ってらっしゃい!!」