Christmas  Morning





長い指先が前髪を絡め取るようなくすぐったい感覚に、見ていた夢の中から半ば

強引に引き戻された。

部屋の中は薄闇に包まれているから、起きるにはまだ早い時間なのだろうと思う。

まだゆっくり眠っていたかったのだと気怠い身体は訴えている。




んっ…―――




鼻から漏れるように短く息をついた。




「悪い。起こしちまったか」




口調には悪いという思いが全然込められてないじゃないの、と心の中で愚痴りながら

重い身体に鞭打って、その声の主を振り返る。




「前髪、じゃまじゃねぇかな、と思ってさ」




聞いてもいないのに起こしたワケを口にしている。

微かに煙草の匂いが流れているってことは、起きて一服し終わったのかな?

で、眠れなくなっちゃったからあたしまで起こしたんじゃないかと疑ってしまう。

何だか相手が子供みたいだと、可笑しくなる。

でも、それを悟られるのもちょっと悔しくて、

見透かされるのを覚悟でちょっとむくれたように答えてみる。




「せっかくいい夢見てたのに……」



「それはそれは……」




口の端だけ上げて小さく苦笑しながら、そのまま胸の中へ引きずり込まれるように

抱き寄せられた。

その心地よさに、部屋の空気が思ったよりも冷えていたのに気付く。




――― あったかい…









「寒いね」



「ああ」




それを理由にもうちょっとだけ距離を縮めてみたりして…




「もしかしたら、雪降るかもな」

「そうかな」

「やけに静かだし…」



え?



「雪は音を吸収するって言うだろ?」

「そっか……もし降ったらホワイトクリスマスだね」




クスリ、と笑みが零れる。




「んじゃ、お楽しみは朝までとっておくということにして、もっかい寝よっか」



「うん」




大きな腕に抱かれて降り積もる雪に想いを馳せる。

そして共に迎えられる朝を祝いたい。





 神様

 ありがとう

 そして

 メリー・クリスマス



<End>


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇






   <あとがき>

    クリスマス、ってクリスチャンでなくても幸せに感じる日ですよね。私大好きです。
    一人で浮かれています。

    それにしても短いブツでごめんなさい……しかも、甘すぎ……げほっごほっ



     ムツ 「ねえねえ。なんでカオリン疲れてんの?」(←かなり意地悪な質問)

     撩  「あ、ああ……仕事だよ、仕事。前の日夜中まで仕事でさぁ、
         参っちゃったよ。は、ははっ…」

     ムツ 「あ〜や〜し〜い〜っ! じゃあ、なんで一緒に寝てんのよ」

     撩  「こ、これはだな(大汗) ……そう!リビングで雑魚寝!
         雑魚寝してたんだよっ」

     ムツ 「ふ〜ん……まさか、あたしに隠れて……」

     撩  「な、何もしてないって! や、やだなあ、ムツゴロウ様」

     ムツ 「いいよ。あんたが隠すんならカオリンに聞くもん」

     撩  「
あいつがわざわざ悪魔に言うわけねえだろ(ボソリ)

     ムツ 「……今、何か言った?」 (吹き荒れるブリザード)

     撩  「ブルッ 何か寒気が…。風邪ひいたかな。じゃあ、オレ帰るわ」(逃亡)

     ムツ 「あ、待て、コラ〜〜!!」