for you






幸せと不幸はおんなじだけくるんだよ






あれはまだ、あたしが小さかった頃。

そう。

確か、父親が亡くなった年の12月。

もううちにはサンタさんが来ないんだ、って泣いたあたしにアニキがそう言った。

自分ばっかり不幸なわけじゃない。

その分の幸せは、後でちゃーんと帳尻が合うように神様が配るんだって。

あれは泣く子に困り果てたその場しのぎの言い訳だった気もするけれど

その言葉はあたしの心に沁みた。




ねえ、アニキ。





今まで、すごく悲しいことばかりたくさんあったけど、

そんなに不幸だったとは思わないよ。



だから、

あたしに廻ってくる分の幸せをアイツにあげてもいいかな?

あたしなんか目じゃないくらい

もっと傷付いて、もっと辛い思いをしてきてる。

もうそろそろ、幸せが廻ってきてもいい頃だよね?






ねえ、アニキ。


神様にそう伝えてよ。




















          香を、頼む ――






          そう、お前は言い残したよな。

          頼まれたのはいいが、いったいどうすりゃいいんだ?

          って、思ったよ。

          あの言葉が枷になって、

          重くなって、

          何度放り出そうとしたことか。




          最近、よく考えるよ。

          どうして今、

          ここで生きているのがお前じゃなくて、

          オレなんだろうって。

          その意味ってなんだろうって。

          すんげぇ考えた。




          だけどなぁ……

          悪い。

          やっぱ判んないわ。




          けど、
 
          お前が生きていたら絶対にやっていただろうことを

          やろうと思う。

          オレは、お前ができなかったことを

          やろうと思う。




          あいつを幸せにする。




          それでいいかな。



          なぁ、槇村。




















「あ…、ねぇ。もしかして、雪?」

「あぁ。やけに静かだと思ったら、積もってんのか」

「どうりで。寒いわけよね」

「もうちょっと、こっち来るか?」

「うん。……ふふっ」

「何笑ってんだよ。気持ち悪ぃな」

「何でもな〜い」

「コノヤロ」

「撩だって、さっきなんで上の空だったのよ」

「さぁてね」

「ズッルーい」








     ふわりと舞い落ちる雪。


     それは彼からの言葉。






     そういうことにしておこう。








<End>





 
<あとがき>


   メリークリスマスです。こんなショートでスミマセン。

   いちお、甘々150%増(当社比)にしてみたんですが・・・・・・。

   もう今年もあとわずかですね。

   どんな年だったでしょうか?

   私は、プーから脱皮。新たなチャレンジをひとつ。そして、

   悲しいことに体型は変わらず(涙)

   来年こそっ・・・・・・と想い続けて早や○○年。




  撩  「ははっ 無理無理。無駄なことはやめろって」

  ムツ 「ふーんだ。来年こそはあああああっ」

  撩  「リキ、入ってんな」

  ムツ 「8キロ痩せたら会おう、って約束した人がいんのよ」

  撩  「・・・・・・・・・そりゃぁ、一生会えねえだろ
(ぼそっ)

  ムツ 「なんですとーっ!! 幸せな奴にはあたいの気持ちは判んないわよっ」

  撩  「判りたくもないし、聞きたくもないね
(耳の穴をほじる)

  ムツ 「むむ〜〜〜〜っ」

  撩  「こんなくだらん話、もういいだろ?オレ戻るわ」

  ムツ 「ど、どこに戻るのよぉっ」

  撩  「ヤボなこと聞くなよな。じゃな」
(何故かスキップ)

  ムツ 「くそ〜っ 鼻歌うたいながら帰んないでよ。余計寂しくなるじゃないのぉっ」