風呂掃除の勧め





あっついなぁ・・・どうなってんだよ。この暑さは・・・。

香の奴、伝言板見に行ったっきり帰って来ねえしよ。

どうせ、キャッツにでも寄っているんだろうけど。

あ〜・・・暇だなぁ・・・。

こんなに天気がいいのになぁ。

ナンパしに行こうにも、金ないしなぁ・・・。



・・・そうだ!

たまには風呂掃除でもすっかな。

んでもって、キレイな風呂入りながらビールでも飲もう。

我ながらいいアイディアじゃねえか。





ザバーッ・・・・

ごしごしごし。



香の奴、ちゃんと湯垢落としてねえんじゃねえか?

ここんとこ、こんなに汚れてるし。

タイルの目地だってカビ取りしてるのか?



ごしごしごし。

風呂釜掃除は一ヶ月に一回、ってテレビでも言ってるだろ?

ほんと、ちゃんとやってんのかなぁ。

蛇口周りだってブラシで擦らなきゃだめなんだぞ?

わかってないなあ。



ふーっ。暑っついな。

ま、冷たいビールがオレを待っている〜♪

ってことで、とっとと片付けちまわないとな。




ごしごしごし。

ザバーッ・・・・

キュッキュッキュッ。



ほら、こんなにピカピカになった。

ついでに風呂桶も洗っちゃおう。

ごしごしごし。

こんなに汚れが落ちると気分がいいな。

他に洗う所はないかな・・・。



ちぇっ。ここは洗ってある。

・・・ここもだ。目立つ所はやってんだな。

香のやってない所は・・・・・・・・・

そうだ! さすがの香もここまでは手が届かんだろう。



ふっふっふ。やっぱりな。

意外と天井ってのは汚れているもんだぜ。

見ろよ。こんなに色が変わるじゃねえか。

ほら、あの隅っこのところとか・・・。

くそっ 手が届かない。

もうちょい・・・・



あっ!




ドッボーン・・・・




イテテテテ。

風呂に水入ってて助かった〜。

だけど、こりゃひでえな。びしょ濡れだよ。



「撩? 何 服着たまま風呂入ってんのよ。」



うっせえな。

誰のせいだと思ってんだよ。

そもそもな、お前がきちんと掃除しないから・・・



「あんたが掃除をするなんて。こんなにいい天気なのにどうしてくれるのよ。」



雨が降るってか?槍が降るってか?

ふんっ 折角掃除してやったんだぜ。

お礼くらいしてくれたっていいじゃねえか。



「ちょっと、濡れるでしょ。離してってば・・・・あっ」




ドボーン・・・・




「もうっ!ひどいじゃない。何するのよ。」



何って・・・

もう、洗う所なくなっちまったから

お前を洗おうかと思って、さ。



「えええっ?!」




暴れるなよ。脱げねえだろ?

お前はオレを洗ってくれればいいからさ。

それが風呂掃除のお礼ってことで、な。

遠慮すんなって。

おい、騒ぐなよ。



んんっ―――




そうそう、大人しくできるじゃねえか。

何、赤い顔してるんだよ。

やっぱ、風呂でビールよりもこっちの方が美味いな。




そうだ!


オレ、今度から風呂掃除は毎回してやるよ。

だから、さ。

お前は休んでいていいから。

お礼だけしてくれればいいから。

ん? なに? 遠慮しますって?

だめだめ。もう決めちゃったもんね〜。

お礼は最後まで誠意をもってっていうだろ?




な?



<End>

 

 

<あとがき>

ゲロ甘!! この二人、なにいちゃこいているんでしょうね。

あ〜あ、やってらんないわよ〜〜〜。このくそ暑いのに・・・。




ムツ 「あんた、何どさくさにまぎれて襲ってんのよ。」

撩  「だってよ〜。暇だったしさ、これくらいいいじゃねえかよ。」

ムツ 「ちゃっかりお礼取っちゃってるじゃないのよ!しかも極上の。」

撩  「いや、ね。いっぺんやってみたかったんだよなぁ。洗いっこってものをさ。」

ムツ 「・・・ふ〜ん。(ジト目) で、ご感想は?」

撩  「そりゃもう、ムツゴロウさまさまって奴ですか?」(ニヤニヤ)

ムツ 「・・・・・・・・・」   ちゅどーん!(自爆)