「あ! 花火!」 依頼を終えてアパートへ戻る途中、助手席からすっとんきょうな声が上がる。 「はあ? 何言ってんだよ。ここ、山の中だぞ。何かの見間違いじゃないのか?」 ハンドルを握りながら呆れたように助手席を見る。いくつもの曲がりくねったカーブの続く山道で、 花火どころか街路灯すらもない場所だ。 「だって、見えたもん。」 香は頬を膨らませて口を尖らせている。 ったく、ガキみたいなことを、と思ったが仕方がない。 車を徐行させて辺りを見回すが、やはりそんなものはどこにも見えない。 「見間違いだろ?どこに花火なんか・・・」 そう言いかけたオレの視界の端っこに眩い閃光が映った。 「お・・・ほんとだ。」 見晴らしのいい場所に車を停めてハザードランプを点滅させる。 車がまだちゃんと停止しないうちに、香は外へと飛び出した。 高層ビルをバックにしていくつもの花火が上がっていた。 オレも今そう思っていたところなんだ。 隣ではしゃいでいた香がとたんに嫌そうな声を出した。 これは虫よけにもなるんだぞ。 まあ、いいや。 香はありがとう、と微笑み、オレの隣で同じように車に寄りかかった。 「ああ。」 「あたしたちの特等席だね。」 「そうだな。」 しばらくの間、黙って遠くの花火を眺めた。
< あとがき > 今日は私の住んでいる街の花火大会です。まさにニッポンの夏!!!!だよね。 そしてやっぱり、「とりあえず ビール!」なんだよなあ・・・。 撩 「今回はなんだか盛り上がりに欠けてねえか?」 ムツ 「うっ・・・・・(実はちょっと気にしてた)」 撩 「つまんねえなぁ。もっとさあ、映画みたいにドラマチックに、こう・・・」 ムツ 「ゲッ・・・・(だって長話は辛いのよ)」 撩 「オレ達以外の登場人物って出てこねえの?いい加減、香ばっかだとあきたよ。」 ムツ 「(ブチッ)・・・わかったわよ。次回は脇役揃えてやる! そして、あんたたちを徹底的に邪魔してやるわっ!!お〜ほっほっほ・・・(キレた)」 |